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老人ホーム豆知識

介護におけるQuality of Life(クオリティ・オブ・ライフ) ~「生活の質」について共に考える~

日々の生活

誰もが「自分らしく充実した人生を送りたい」と願うものです。人生において一人ひとり生活スタイルや身体的特徴、趣味が違い、さらに習慣や癖も異なります。人はそれぞれ独自の人生観や価値観を持っています。かつては、医療や介護の現場においては「治療」が優先される傾向にありましたが、現在は医療や介護サービスを提供するうえでも、サービスを受ける本人が「幸福」や「満足」を感じるかどうかが重要視されるようになってきました。その上で介護においてサービスを受ける方のQOLを向上するためにどのようなことに考慮すれば良いのかをご紹介します。

Quality of Lifeとは

「QOL」とは、Quality of Lifeの略称で、日本語で「人生の質」や「生活の質」と意味されます。QOLとは生活や人生が豊かであることの指標とされるものです。豊かといっても単に物質的な事だけでなく、自分らしく生活し、生きがいや精神的な幸せ、心の豊かさを感じる事が含まれます。そして、QOLを向上する事により、生きがいや充実感を持って生活をする様になり、心身の健康につながります。しかし、人それぞれ「何をもって幸福、満足とするか」が大きく影響しています。QOLは、あくまでも個人の主観的な評価であり、他者には容易に推測できるものではない基準であるといえます。このようにQOLが高い状態かは人それぞれ異なり理解が難しいため、QOLを可視化でき他者が評価できるようにしたSF-36という指標があります。

SF-36とは

アメリカのQualitestが提供しているQOLを評価するための調査票のことをいいます。36項目の質問に回答することで、(1)身体機能 (2)日常役割機能(身体) (3)体の痛み (4)全体的健康感 (5)活力 (6)社会生活機能 (7)日常役割機能(精神) (8)心の健康 以上、8つの健康概念においてQOLが高いか、低いか、どこに課題があるかといったことを可視化できます。

<SF-36の特徴>

  • 様々な疾患の健康関連QOLを測定することができ、疾病の異なる患者さん間のQOLの比較が可能
  • 国民標準値との比較ができる
  • 国際的に最も普及している健康関連QOL尺度である
  • 介護のQOLを向上させるには

    いくらQOLの向上を目指しても、過度に介護してしまうとかえってQOLを低下させてしまう恐れがあります。介護サービスを利用するということは病気や障がいなどによってすでにQOLが低下している可能性が高いからです。利用者の病気や障がいを治してQOLを向上させることは介護スタッフにはできません。そのような状態であっても、自分らしく満足のいく暮らしができるように日常生活を手助けすることが介護スタッフの役割なのです。これからの人生を送る介護施設でQOLをどう向上していくか、介護現場で働くスタッフにとっては治療よりも、少しでも利用者本人のご希望に添えるようなQOLの向上を探していかなければなりません。

    ご家族や施設スタッフができること

    まずは利用者を知ることが大切です。QOLの向上には本人の思いを理解することがとても重要だからです。積極的にコミュニケーションをとり利用者の方を知ることで、普段の介護に活かすことができます。そして時には、世話をしすぎず、見守るのも大切です。なぜなら、ADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)の低下がQOLの低下につながる可能性があるからです。なるべく自分でできることは自身でやってもらい、スタッフは補助的なサポートに徹して見守るというのが理想です。QOL向上のために出来ることは自立を支援し、尊重することです。

    まとめ

    主観的であるQOLを理解し、向上させることは難しいことです。しかし、その人にとってどういう環境が最適なのか、どういったサービスをすべきなのかを判断するには、まず利用者の思いをよく理解することが大切です。利用者の気持ちに寄り添った介護を提供することが介護スタッフの務めといえるでしょう。ぜひ、現在のQOLやこれからのQOLについてお互い話し合い、「人生の質」を高められる機会をつくられてみてはいかがでしょうか。

ホスピタルメントは、全国で病院、クリニックを運営する桜十字グループが地域医療で培った経験とノウハウを詰め込んだ有料老人ホームです。医療機関との連携による「医療のバックアップがある介護」で安心の土台を支えます。

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